Monthly archive 12月, 2014
旅と乗りもの:第1回 「小さな陸橋」

旅と乗りもの:第1回 「小さな陸橋」

 小学校へ上がる前、神奈川県二宮という町の畑のなかの古い一軒家に、1年ほど住んだ。歩いて国道へ出るその途中に東海道線をまたぐ小さな陸橋があって、外出するときは必ず渡った。幼稚園からの行き帰り、私はいつもしばらくここで立ち止まり、列車が通過するのを待った。  陸橋の上からは、さまざまな列車や電車が見えた。流線型の電気機関車EF58が牽引し展望車を連結したうす緑色の特急「つばめ」と「はと」。博多行き寝 […]
知財から見える世界:第5回 知的財産の金銭化

知財から見える世界:第5回 知的財産の金銭化

 膨大な研究開発費をかけた知的財産もそのままでは宝の持ち腐れである。特許を取得するためには出願料もかかる上に、特許を維持するためには特許料を払い続ける必要がある。特許は一国内だけで成立するため、海外でも特許を成立させるためには、海外での出願も必要となる。通常は、ある国で特許を出願すると共に、国際出願をし、特許出願の優先権を維持しつつ、特許を各国で出願していく。国際出願にしても、各国移行にしても、翻 […]
アメリカを探して:第3回  携帯電話、オバマケア、憲法

アメリカを探して:第3回 携帯電話、オバマケア、憲法

 アメリカ合衆国最高裁判所は、毎年10月に開廷され翌年の6月下旬まで審理を続ける。この期間を開廷期(Term)と呼ぶ。7月はじめには長い夏休みに入り、10月に次の開廷期がやってくるまで、9人の判事たちはそれぞれ本を書いたり講演をしたり、あるいは避暑にでかけたり、思い思いに過ごす。  最高裁は下級審判決からの上告をすべて取り上げるわけではない。予備的な審査を経て取り上げると決めた事件は、まず当事者の […]
ビル・ブライソン『人類が知っていることすべての短い歴史』 /楡井浩一訳(NHK出版)

ビル・ブライソン『人類が知っていることすべての短い歴史』 /楡井浩一訳(NHK出版)

ビル・ブライソン 『人類が知っていることすべての短い歴史』 /楡井浩一訳(NHK出版)    小学生のころ、夏休みは退屈で困った。することがない。動くと暑い。手持ちの本は大方読んでしまった。昆虫採集なんかまっぴらだ。宿題はしたくない。新学期前の数日が悲惨な状況になるとわかっていて、やる気が出ない。蝉の鳴き声がうるさい。おなかが減った。夕食までまだ時間があるなあ。しょうがないから、何もしな […]
知財から見える世界:第4回 知的財産権とは

知財から見える世界:第4回 知的財産権とは

 知的財産には、特許だけではなく営業秘密、製造ノウハウ、著作権、商標、デザインなどいろいろなものが含まれる。日本の知的財産基本法では、「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発明又は解明がなされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密 […]
アメリカを探して:第2回 それぞれの歴史問題:日本、イスラエル、アメリカ

アメリカを探して:第2回 それぞれの歴史問題:
日本、イスラエル、アメリカ

 昨年12月末に安倍晋三首相が靖国神社を参拝してから、早いものでもうすぐ1年経つ。当時、日米関係は多少ぎくしゃくした。もともと安倍総理が好きではない日米の進歩派は、それ見たことかと中国や韓国と一緒に非難したが、それだけではない。日米関係を重要視し日本に好意的なアメリカの政権内外の人たちも、当惑を隠さなかった。より強固な日米関係をめざすいろいろな努力に、靖国参拝が水を差したからだ。「未来を語ろうと言 […]
知財から見える世界:第3回 特許訴訟の最前線

知財から見える世界:第3回 特許訴訟の最前線

 最近、日本でも特許訴訟が増えてきた。しかし、米国では年間約6,000件、中国が約9,000件、EUで約3,000件の特許訴訟があるのに対して日本では300件にも満たない。中国で特許訴訟が多いのは、膨大な数の特許が成立し転々流通していることと、模倣品の横行という特殊事情による。中国は特許制度、訴訟制度そのものが法的安定性を欠いている部分もあるため、訴訟件数が多くてもあまり参考にならない。日本企業に […]