Monthly archive 11月, 2014
知財から見える世界:第2回 特許と職務発明

知財から見える世界:第2回 特許と職務発明

 会社や大学、研究機関で職務中に成された発見は一体誰のものだろうか?当然、発明した本人の才能はあろうが、会社のお金で発明できる環境や設備を作り、給料を支払ってきた事実も無視はできない。昨年、閣議決定された「知的財産政策に関する基本方針」では、「職務発明制度の抜本的な見直し」が盛り込まれ、特許法第35条の「職務発明」規定改正の議論が行われてきた。職務発明の対価については、2001年に、中村修二カリフ […]
サイモン・ジェンキンス『短いイギリスの歴史』(未邦訳)

サイモン・ジェンキンス『短いイギリスの歴史』(未邦訳)

『A Short History of England』Simon Jenkins (Profile Books Ltd.)    ロンドンの国会議事堂(ウェストミンスター宮殿)を知らない人はいないだろう。テムズ川ぞいにそびえるビッグベンという大きな時計塔は、メアリーポピンズやピーターパンなど、イギリスの童話を題材にした映画にも登場する。上下両院、特に衆議院(庶民院とも訳される)の本会議 […]
知財から見える世界:第1回 TPPと知的財産

知財から見える世界:第1回 TPPと知的財産

 環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉が大詰めを迎えているが、交渉国が厳しく対立している交渉テーマのひとつに知的財産権がある。米国は、TPPを21世紀型のハイブリッドな貿易・投資協定と位置づけており、自由な物・サービスの移動のためには、域内で知的財産権が米国と同じように保護されることが不可欠だと主張している。これに対して途上国は、知的財産権の保護強化は途上国の負担を増すと反対している。  知 […]
バージニア・リー・バートン『ちいさいおうち』(岩波書店)

バージニア・リー・バートン『ちいさいおうち』
(岩波書店)

バージニア・リー・バートン『ちいさいおうち』 (岩波書店)    もう今は昔のこと、上の息子が小学校に入る前、生まれて初めて家を買った。当時ワシントンの法律事務所につとめていて、そのままアメリカに住みつきそうな気がした。それなら家を買わねばなるまい。春らしい春の一日、知り合いが紹介してくれた不動産屋の婦人に案内され、ワシントンの川向こう、北部ヴァージニアの住宅地で家を見て回った。  あち […]
アメリカを探して:第1回映画『リンカーン』と日米憲法改正比較

アメリカを探して:第1回
映画『リンカーン』と日米憲法改正比較

 一昨年、スティーブン・スピルバーグ監督の『リンカーン』という映画が公開され、全米で大きな反響を呼んだ。リンカーンを演じたダニエル・デイ・ルイスは、アカデミー賞主演男優賞を獲得した。1865年1月、リンカーン大統領がいかにして反対派の強い抵抗を抑え、議会下院での憲法修正第13条可決を実現し、恒久的な奴隷制度廃止に道を開いたかを真っ向から描く、歴史大作である。  この映画は昨年日本でも公開され、安倍 […]