空から見たアメリカ東海岸は、まるで冷凍庫のなかにしばらく閉じこめておいたジオラマのようだった。着陸したジョン・F・ケネディー空港周辺の沼はすっかり氷結し、わずかに残った水路から水鳥が飛び立つ。水温が空気の温度より高いせいだろう。凍りついていない川や湾の水面から蒸発した水分が瞬時に微少な氷の粒になり、白い煙のように空中を漂う。その朝のニューヨークの気温は摂氏マイナス10度。乗り換えたボストン行きの […]